門首開会式ご挨拶

本日ここに、第76回宗議会(臨時会)が招集され、議員各位には、挙って参集されましたこと、まことにご苦労様です。
はじめに、昨今国内で続く地震や豪雨をはじめ、世界各地においても頻発する自然災害や、未だ終息を見ることのない紛争により、被害を受けられた全ての方に衷心よりお見舞いを申し上げます。一日も早く平穏な日常が取り戻されることを強く念じ上げます。
さて、今臨時会は、前年度決算をはじめとした重要な案件について審議されることであります。議員各位におかれては、公議公論を尽くされ、その本分を全うされるよう念願いたします。
宗務総長挨拶(要旨)

本日、議員の皆様方にはご繁忙の中にもかかわらずご参集を賜り、誠にご苦労様でございます。平素は、法義相続・本廟護持、そして、同朋会運動の推進に多大なご尽力を賜っておりますこと に、厚く御礼を申し上げます。
まずもって、本年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」並びにその被災地に重ねて発 生した「令和6年9月能登半島豪雨」により被災されましたすべての方々に、衷心よりお見舞い を申し上げますとともに、一日も早い復興を念じ申し上げます。本年の宗会(常会)における演 説において、 「本願念仏のみ教えに出遇うことのできた身としての仏教的・大乗的支援」というこ とを申し上げました。宗派にとって史上最大級の被災であるとの認識のもと、念仏の声が再び能 登の地において響き渡るよう、引き続き内局・宗務役員一同、息の長い支援に、最大限の力を尽 くしてまいる所存であります。
さて、このたびの臨時会は、決算審査の充実と早期の決算承認を目的として、2023年度の 決算を審査いただくため、招集をさせていただきました。 この経緯につきましては、皆様も十分にご承知のことと存じますが、長年にわたり宗議会・参 議会両会にて議論が行われ、去る宗会(常会)においても両議会から「宗会における決算審査及 び決算承認の早期化を求める建議」が提出され、それぞれ全会一致にて議決されました。実効性 と即応性を重視した決算審査の充実は、宗門の重要課題であります行財政改革の取り組みとも連 動するものであると受け止めており、内局といたしましても、両議会からのご要望を真摯に受け 止めさせていただき、このたび、決算審査のための臨時会の招集に至ったものであります。
なお、本議会の運営につきましては、現行法規に基づきつつ、議会の運営上の変更をもって可 能な範囲での審査をいただくことでありますが、本臨時会を経て、引き続き、議会と内局が相互 に協力しつつ、さらなる検討を行い、よりよい運営形態を形作ってまいりたいと存じます。
2023年度の決算概況については、財務長からの議案説明に委ねますが、2023年度を振 り返ってみますと、真宗本廟における「宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃法 要」が完遂された翌年度ということで、今こそ宗祖のご教示に基づき「足もとを明らかにする」 ことを「要の課題」として受け止めさせていただいたことは演説でも申し上げたとおりでありま す。そのような中、北陸・能登地方を巨大地震が襲いました。「慶讃法要」と「能登半島地震」と いう重大な出来事を経験した私たちが成すべきことは何か。真宗本廟での慶讃法要は完遂されま したが、教区の慶讃法要はいよいよこれからであります。まだ終わっておりません。そして、能登半島地震で被災された寺院・ご門徒の復興もまだ途上であります。
内局といたしましては、教区の慶讃法要、そして能登半島地震への支援ということを最重要事 項として、同朋社会の実現に向けた僧伽回復の取り組みを進めていかなければならないと、ここ 1 にあらためて決意を表明させていただきます。 引き続き、皆様方のご理解とご尽力を得て、宗門一丸となって進めてまいりたく存じます。
議員各位におかれましては、本臨時会にて提案いたしました全案件につきまして、何卒、全会 一致をもってご可決たまわりますようお願い申し上げます。
以 上
2023年度決算概況(要旨)

2024年宗議会臨時会に提出の決算関係の議案について、2023年度決算概況を申し上げます。
まずは、2023年度宗派経常費御依頼の収納につきまして、ここに改めてご報告いたします。御依 頼総額50億2,400万円に対し、54億4,358万4,326円、率にして108.3%の収納 をいただきました。全教区からご完納をいただきましたことから、2023年度一般会計経常部歳入の 「4款 相続講金」「5款 同朋会員志金」は108%を超える収納率となりました。宗門活動に深い ご理解をいただき、格別の御懇念を賜りましたこと、この場をおかりして心から御礼申し上げます。
さて、2023年度一般会計については、経常部・臨時部合わせた歳入額は86億3,054万円、 予算に対して104.0%の収納率であります。
経常部歳入は、81億3,418万円、収納率は104.4%であります。2023年宗会(常会) の財務長演説にて申し上げた、新型コロナウイルス感染症の影響から復調しつつある実績を踏まえて予 算を増額した主な科目で見てみますと、「1款1項6目 斎冥加金」は収納率96.8%、「6款1項 1目 読経志」は収納率106.3%、そして渉成園の拝観者にご協力いただく「7款1項1目 寄付 金」の収納率は167.9%となりました。渉成園については、2014年度から国庫補助金を得て渉 成園の保存整備事業を実施し、殊に昨年度は京都市・京都市観光協会が主催する「京の冬の旅」での園 林堂・閬風亭の特別拝観や、秋と春に夜間特別拝観を開催するなど、そのイベントと広報により202 2年度に比して拝観者は2万6千人以上の増加となり、過去最高の渉成園庭園維持寄付金の収入となり ました。
一方で、「1款1項3目 同朋会館冥加金」は、団体数は目標に達したものの1団体あたりの上山人 数の減少傾向に加え、関係学校の上山研修の中止も相俟って、収納率は79.6%となりました。 次に、経常部歳出は、76億7,136万円であり、予算に対して98.2%の執行率であります。 執行率が低い主な科目として、「3款 2項 解放運動推進本部費」は、「是旃陀羅」の課題に取り組 む学習テキスト『御同朋を生きる』の編纂スケジュールに変更が生じたため、その後の研修会の開催を 見送ることとなり、執行率は67.6%の減額執行となりました。 また、「4款2項 同朋の会推進 講座費」は、教区慶讃法要の準備に注力したことなどにより、実施予定の教区・組において、延期・中止となったことから、執行率は69.8%と減額執行になりました。
一方で、予算超過となった科目として、「3款3項 青少幼年センター費」は、慶讃法要を機縁とし 発刊いたしました『真宗児童聖典』の反響が大きく、全国の寺院・教会およびご門徒の皆様からのお求 めに応えるべく重版したことから予算超過となりました。加えて、住職慰労金の給付件数増に起因する 「7款1項 第1種共済制度運用費」、慶讃記念衣体調製に係る「8款9項 調進費」等が予算超過と なっております。
また、2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震の支援については、「7款3項 災害見 舞費」において、被災教区への見舞金、救援物資、ボランティア活動助成、職員派遣に係る経費を執行 したことにより、執行率は2,373.4%となりました。この予算超過額は、「一般会計における災 害見舞費の残額を災害見舞準備金として保管する臨時措置条例」に基づき、災害見舞費の不足額7,9 79万円を災害見舞準備金から繰入れました。
なお、このたびの震災に対する救援金の勧募につきましては、2024年6月30日現在で2億3, 490万9,521円の救援金を全国からお寄せいただきました。被災された方々に思いを馳せ、救援 金を届けてくださったことに対し、厚く御礼申し上げます。なお、救援金は、2023年度に能登教区 に2億円、新潟教区へ100万円、富山教区へ100万円、金沢教区へ500万円を給付いたしており ます。
次に、臨時部においては、慶讃事業推進資金を原資に「6款 慶讃事業継続費」を2023年度より 予算化しています。その中で、慶讃記念事業として『真宗聖典第二版』を東本願寺出版から2024年 4月1日に大・小各1万部を発売することができ、2023年度内の3ヵ月で約5,500部をお求め いただいています。
総じて、2023年度一般会計経常部臨時部決算の歳入予算超過額は3億3,434万円、歳出予算 残高は2億2,455万円であり、歳入歳出差引剰余金は5億5,889万円となりました。
次に、特別会計の中から、第2種共済特別会計についてですが、令和6年能登半島地震の被害報告件 数をもとに歳出の部の第2種共済の査定に係る経費を算出し予算を補正した「2款 事務費」は、提出 資料に基づく査定に多くの被災寺院・教会がご協力くださったことをはじめ、能登教務所を査定員の拠 点として、査定員の旅費・宿泊費を抑制できたことから執行率は65.5%となりました。
最後に、2024年6月30日現在の別途会計諸勘定計算書についてですが、2022年度末より主 な変更点として、新たに2024年宗会常会で基本財産に設定された22棟の国重要文化財指定の建物 を追加した点、固定資産としていた授与物・出版物の流動資産への移管と未収金分を区分表記した点、 前受け地代預りを固定負債に追加した点であります。
以 上
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